なんせ田舎に住んでいるもので、たまにうちの最寄駅から数駅離れたターミナル駅まで出てその周辺を歩くと、うちの純朴な田舎息子たちは「うわー!高いビルがいっぱいだねー!都会だねー!」なんて田舎っぺ丸出しで大騒ぎするので、連れていく方としては恥ずかしい限りである。そのターミナル駅にあるビルだってせいぜい7階とか8階程度のビルが並んでいるくらいだというのに、もっと都心に出てもっと恐ろしく高いビルがあることを知ったらこの子たちは一体どうなってしまうのだろう。比喩じゃなくてしょんべん漏らすんじゃないよ…と今から注意しておかなくてはならない気がする。
私は東京生まれで超高層ビルには慣れているつもりだけど、それでも最近の田舎暮らしにすっかり慣れてしまっているせいか、たまに都心に出ると空の狭さに圧倒される。タワーマンションの最上階に住んでいる人が羨ましい人もいるかもしれないけれど、私からしたらその高さは「酸素ある?空気薄くない?」と心配になってしまうレベルだ。ましてや超高層ビルの窓ガラスはどうやってメンテするんだろう。あんな高さで―命綱はつけているかもしれないけれど―作業しなくてはならないなんて…。高所恐怖症の私からしたら、絶対に自分の仕事にしたくない。きっと敢えてその仕事を選ぶ人っていうのは、東京タワーとかスカイツリーの展望台にあるガラスの床に喜んで乗っかる人であるに違いない。私なんて足がすくんでしまってその近くにも寄れないというのに…。
東京タワーもスカイツリーもタワーマンションも何もない、あるのはせいぜい電波塔くらいなものだけど、私はやっぱり田舎がいい。自分の最寄駅について空を見上げたとき、つくづくそう思うのだ。